起業してビジネスを軌道に乗せるにはとてもエネルギーがいります。その一方、実際に顧客やクライアントを獲得して報酬を手に入れると、何とも言えない充実感や喜びを感じることが出来ます。
しかし、いざ会社員から起業しても現実は思いのほか新規顧客が獲得できなかったり、集客にも苦しんで売上が上がらなくて困っているという場合は決して少なくありません。起業の世界では綺麗事抜きに、売上がなければどんなに立派なビジョンや経営理念があったとしても存続すら出来なくなります。
そこで今回は、実際に会社員から起業してきた私が実体験をもとに、起業してから新規顧客を獲得するために必要なことを4ステップに分けてお伝えしたいと思います。
これから起業を考えている方、あるいは既に起業をしていて、新規顧客を獲得するのに苦労をしている方も是非参考にしてください。
目次
1.自分は何の分野で食べていくか、本業の軸を定める
自分は何の分野で食べていくのか。これは起業してから必ず始めに考えるべきことだと思います。起業してから何のビジネスをしていくかなんて、みんな決まっているだろと思うかもしれませんが、実情はそうともいえません。
実際に私も起業してから初めのころは、顧客獲得目的で、色々な異業種交流会や個人事業主や社長が集まるイベントや会に参加して名刺交換をしてきましたが、何を本業としているのかわからない会社や個人事業主の方が案外多いということがわかりました。
例えば、名刺交換の場であれば、自己紹介した時点で、相手に自分がやっているビジネスの分野や強み、魅力が伝わらなければその場限りの関係でほぼ終わります。厳しいけれどそれが現実です。
特に、異業種交流会の場は、建前上は人脈構築作りと言いつつ、ほとんどの方が顧客獲得目当てや、見込み客獲得目的に参加しているのが本音です。しかし、そのなかでも相手に自分の提供している商品やサービスの価値が伝わらなければ100人や1000人と名刺交換をしようがすれ違いで終わってしまうのです。
「あなたは何のビジネスをやっているんですか?」と質問された時に、明確に回答できなかったり、色々とやっていると答える方はそもそも何の分野が本業なのか定まっていないと同時に、軸がないパターンといえます。
色々と手を付けては上手くいかずに、中途半端になっていることも多いのがこの層の方達です。
また、会話中にやたらと収入の柱を何個もだとか、儲かる話があるとか言う話の類をする方にも気を付けたほうが良いでしょう。あなた自身が、異業種交流会でそういった顧客をターゲットにしている方達にカモにされてしまいます。
本当に上手くビジネスが軌道に乗っているという社長や個人事業主で、異業種交流会に参加していることはかなり少ないと思ったほうが良いでしょう。主催者との関係や、何かのきっかけで参加していたりということも稀にはあります。
私の場合も、クライアントが獲得できるようになってからは異業種交流会には行かなくなってしまいましたが、異業種交流会は、名刺交換時に自分の強みを相手に短時間で伝えるための実践の場として、最高のトレーニングになることは間違いありません。そういう意味では参加はおすすめです。
中小企業や小さな会社、個人事業主の規模であれば、色々とビジネスをやるほどリソースもなければ、お金の面で無理があります。一人で多くの顧客をサポートできるのは現実的にいって無理です。
だからこそ、自分は何の分野で食べていくのか?起業した段階で明確に軸を決めておく必要があります。
小さな会社や個人事業主は総合デパートよりも専門店で勝負したほうが良いです。
一つの軸で結果を大きく出せば、次に横展開をしてビジネスを拡げていくことは戦略上でも賢いですが、初めから結果も出ずに、色々と手を出すのは失敗する確率がかなり高いです。
そうならないためにも、まずは一つの分野をこれと決めて、その分野の専門家としてスキルや技術を徹底的に磨いていくことです。そして、自分から営業をしなくても相手からお願いしますと依頼されるだけの強みや、商品、サービスを作っていくことが大切です。
2.ホームページやブログを開設して、定期的に情報発信をする
今はソーシャルメディアがビジネスツールとしても一般化して、FacebookやTwitterを活用すればコストをかけずに無料で情報発信をすることが出来るし、ホームページもそれなりのサイトであれば安く作成することが可能です。
私の父親は経営者ですが、父親が起業した当時と今を比べれば、今はかなりの営業ツールや起業をして軌道に乗せるための環境自体は整っているとは言えます。
その今の環境のメリットを生かすか生かさないかも、自分次第になってきます。
小さな会社や個人事業主であれば、できるだけインターネットの力を活用し、見込み客集めや新規顧客獲得ツールとして積極的に活用していくべきです。
特に、そのなかでもホームページやブログを開設し、自社の商品やサービスを積極的に広めるための施策や、定期的に会社の魅力を伝えることをブログ等で周知していくことをおすすめします。
特に、あなたがホームページから集客をして顧客獲得を考えている場合、狙ったキーワードで上位表示をさせるためのSEO施策が重要になってきます。
SEOはどんなに色々な施策をして頑張っても、開設したばかりのホームページであればGoogleにも評価されるのに時間がかかるため、最低でも半年~1年は目に見えた結果が出るまでに色々と地道にやらなければいけません。
ブログにしても同様で、開設したばかりのブログにはアクセスが集まらなく、定期的にブログを発信していかないと、アクセスや購読者が一向に増えることはありません。こちらもホームページ同様に時間がかかります。
それらを考慮して、インターネットを軸にビジネスを行いたい場合は、施策に着手することは早ければ早いほど良いです。
逆に検討ばかりしていると、すぐにライバルが参入してきたり、インターネットの世界は流れがかなり速い速度で変わる為、そのビジネスが一気に停滞するというリスクも常に隣り合わせにあります。
アクセスを集めるのに時間がかかるのが待てない場合、GoogleやYahoo!のリスティング広告(ネット広告)を利用すれば、見込み客をすぐに集めることが可能にはなりますが、こちらは有料でお金がかかります。
しかし、ネット広告だけに頼ったビジネスモデルは手元に利益が残りづらく、自転車操業を余儀なくされる危険性があります。また、業種によっては資金力のある大手しか参入できないぐらい広告単価が高くなっております。
どちらにしてもインターネットビジネスで勝負していくには、時間と手間暇がかかることを覚悟しなければいけません。
2-1.ホームページやブログを開設するときの注意点
ホームページやブログを開設する場合は、必ずドメインとサーバーというものが必要になってきます。ドメインに関しては、起業してビジネスを始めていくのであれば、必ず「独自ドメイン」を取得してください。
このブログで言えば、ドメインが「https://kakizakiyuzi.com/」にあたり、サーバーはレンタルサーバーの「エックスサーバー」を利用しています。
独自ドメインは自分の家を持つのと似ており、一度取得してしまえば、そのドメインをもとにサイトをずっと運用していくことが出来るうえ、時間の経過共にSEOにも評価が上がってくると言われております。
ホームページにも色々なサービスがありますが、ホームページをこれから開設する際は、WordPress(ワードプレス)というCMSがおすすめです。
WordPressであれば一度、ホームページを制作会社などに作成してもらっても、その後は自分でブログ感覚でテキストを修正したりページを新規で制作するのが容易に出来ます。コストも長期的に見れば安くなることが多いです。
ブログを開設する際も、必ず独自ドメインを取得して始めましょう。
アメブロをはじめとした無料で開設できるブログサービスもありますが、ビジネスとして運営していくのであれば適していません。詳しくは、「アメブロを社長はやってはいけない!その理由とは」でもお伝えしておりますので、一度読んでみてください。
3.営業は必須!セールスキル(顧客獲得ノウハウ)は身につける
どんなに良い商品やサービスがあっても、実際に顧客に買ってもらわなければビジネスは成り立たない。これが現実です。
会社員から起業をすると実感しますが、会員員時代には会社の看板があったからこそ、営業をしても顧客を獲得できていたのであるという事実に多くの方が痛感させられるはずです。
実際に私自身で言えば、起業する前は営業をすることがない部署で働いていましたが、起業してからは名の知れた会社の名前や、その会社で働いているというブランド、信用力は絶大だと思いました。
しかし、起業をした途端に、そのブランドや信用力に頼ることが出来なくなり、誰も知らない会社名や屋号、あるいは自分の名前で営業をしていかなくてはいけません。はっきりいって、相手から見れば全く信用もない状態からのスタートです。
この0の状態から顧客を獲得することはかなりのエネルギーを要しますが、相手から相談を待っているだけではダメです。特に起業したての頃は、いかに早く顧客を獲得して売上を上げていくかが非常に大切になってきます。
仕事は受け身の方がいますが、待ちの姿勢で相手から依頼や問い合わせがあるのは、ある程度実績や結果があるからこその引き合いだと考える必要があります。最初からいきなり仕事依頼が舞い込んでくるほど甘いものではないのです。
そして、起業してからはあなた自身が経営者であり、ビジネスを操縦する立場というのを理解する必要があります。フリーランスであってもそうです。相手に自分の商品やサービスを売り込む力を付けること、そして顧客を獲得するためのセールススキルを身に付けることは起業の世界で勝負していくにあたって必須の能力です。
ほとんどの会社が倒産したり、廃業する理由は売上不振です。売上不振の根本的な原因は商品やサービスが売れないからです。
セールススキルに関しては、「セールスで成約率を上げる7つの方法」で詳しく書いています。こちらにもぜひ目を通してみてください。
3-1.起業する前にやっておくべきこと
既に起業することが決まっているのであれば、可能な限り、起業する前の時点で顧客を何名か獲得できている状態を作っておくことがベストです。
起業してからだと、思いがけないトラブルや、想像も付かないような出来事が起こることなど日常茶飯事です。
また、どんなに起業前に思い描いていたものを、いざやってみると上手くいかなかったり、軌道修正などが求められる場面も多々出てきます。完璧に思い描いていたように物事が進まないと考えたほうが良いでしょう。
3-2.起業前に準備しておけば良かったお金のこと
余談にはなりますが、現在、会社員の方でこれから起業をするという方には、ぜひ知っておいて欲しいことがあります。それは、起業する前にクレジットカードの作成や銀行口座の開設は予めしておくと便利だということです。
起業をした後だと、クレジットカードを作成したり銀行口座を開設するにしても、社長や個人事業主という職種は、世間一般では信用がない為、審査に落ちる確率はかなり高いです。これは私自身も痛感させられました。
その反面、雇われ身の会社員であれば、支払い遅延やトラブルなどがない限り、クレジットカードや銀行口座を開設することも比較的容易に出来るはずです。起業してからいきなりお金が必要になったり、資金練りに関して万が一がないとは限りません。
思わぬトラブルやお金が必要な場面がやってくることもあるかもしれません。起業前の事業資金の準備も含めて、お金のことは起業準備段階からシビアに管理しておくことをおすすめします。
4.自分の商品やサービスに誰よりも愛着と自信を持つ
当たり前の話ですが、起業をしたら自分がビジネスを操縦する経営者になります。そのなかでも、あなたが扱っている商品やサービスに対して誰よりも愛着を持つことが大切です。
自分の商品やサービスに愛着と自信を持っておすすめしてくる営業マンと、全く愛着や自信を持っていない営業マンがおすすめしてきた商品どちらから購入したいでしょうか?
間違いなく前者の営業マンから買いたいはずです。
顧客獲得にあたって、必ず営業やセールスは切っても切れないものであり、避けることは出来ません。
自分が本当に愛着を持っていたり、自信を持っている商品やサービスを勧めるということは当然のことながら対価を支払う顧客にも満足を与えます。
もし、今の商品やサービスに愛着や自信が持てないのであれば、自分は本当に何をやりたいのか?自問してみましょう。また、自信が持てないのであれば、商品やサービスの質を磨くための努力が出来ないかを考える必要もあるかと思います。
まとめ
今回は、起業してから顧客を獲得するための方法を4ステップに分けてお伝えしました。
これから起業をしようと考えている方、既に起業をしている方にとっても何か参考になれば幸いです。
起業をすると色々とやることが山積みに出てきます。ですが、そのなかでもやるべきことと、やらなくても良いことを取捨選択しながら日々成果を出していくことが求められます。
起業をすると、大変なことや我慢をする場面に遭遇することもありますが、会社員時代に味わなかった顧客やクライアントからの感謝の言葉や、大きな報酬を手にする瞬間というのはとても嬉しい瞬間であり醍醐味です。
ほとんどの方が、やりたいことや好きなことで起業をしているのだと思います。
一度しかない人生です。日々、チャレンジ精神を持ってビジネスに取り組んでいきましょう。